隣の芝は青く見えるらしい。
「みゆきち、うらやましいな。」
私の友達は2時間続く電話の途中でそう呟いた。
「療養期間があるっていいなぁ…。」
そうだね。私も今はそう思う。
そうだなぁ。
例えて言うなら、人生ゲームの「一回休み」みたいな時間が本当の人生にもあればいいのに。
有給を取ったところでこなさなければならない仕事が減るわけではないとか
ノー残業デーを作られたところで別日の残業が増えるとか
そういうことじゃなく
なんの「しがらみ」のない休み。
彼女は私の事情を知った上で、本音をこぼしてくれた。震えてる声が、本音だということを表していた。
本当は、羨ましいなんて私だけが思っていると思っていた。
自分の高校や大学の進路についても目指した職業についても後悔したことはないけれど
国立四大にストレートに進学、進級、卒業したのち、いわゆる安定した職について働いている彼女に羨ましい気持ちが全く無いとは言いきれない。
でも、大袈裟かもしれないけれど
彼女の世界は彼女にしか分からなくて
私の世界も私にしか分からなくて
不安も嫉妬もないことなんて無くて
学生から急に社会人の中に飛び込んで
話が2時間に収まりきらないくらいの覆い被さるものがあって
今まで抑えてたものが無意識に溢れるくらい心に抱えるものがあって
人生はゲームじゃないから、
一日休み≠一回休みなんて分かってる。
だから今は
彼女の頑張らなくていい時間は
私が受け止めるよ