精神科病棟入院中の出来事。2
入院2日目、初めてデイルームで朝ごはんを食べた。(初日は1人病室にて)
1人ずつ席が決まっていて、他の患者さんと初めての交流でもあった。
年配の方が多く、私は新入りな上に若いから物珍しい目で見られていたけど、みんな優しかった。
隣の席の女性「うつ病ですか?」
私「そんな感じのにプラスで記憶障害と震えがあるんです。」
もし、あの時、解離性健忘ですと言ったらどんな顔してたのか、見てみたかった気もするなぁ。
朝食後、お茶を取りに行った時、もう名前を覚えてくれていたおばあちゃんがいて、泣きそうなくらい嬉しかった。
私は、ちゃんと存在してた。
その日の昼食時、私がストレスで仕事を辞めたという話になった。
朝、私にうつですか?と聞いたその人は、仕事でうつになって3年経つと言う。こうも聞かれた。
「恨んでない?」
その人がいなかったら、今もパティシエの仕事ができてたのにとか思わないかと。
私が心の中で考えないようにしていたことを見透かされてしまったような気がした。
でも不思議と傷つく感じはなかった。この人は、本心で苦しみを分かち合おうとしているのだと伝わってきたから。
ここにいる人たちはみんな心になにかを抱えている。
だから、きっと人に優しくなれる人達なのだろう。同じような経験をした女の子もいて、つらさを共有できて嬉しかったけれど…。
ゾッとした。
こんなにも苦しんでる人が沢山いて、
それでいてみんな笑顔でいることが、
怖い。
経験を共有するたび増していく恐怖。
私が辞めた会社の人たちは
きっと私のことは忘れて普通に仕事をしているに違いない。
苦しむのは、傷つけられた側だけ。
「こっち側」にきてしまった人間は、その経験を忘れることなんてない。
なのに、どうしてそれを笑顔で話すの。
笑顔で話すのは、たぶん受け入れられてるわけじゃない。
「私はこんなに大丈夫なんだよ」と言い聞かせる自己暗示か?